あなたの職場はおしゃべりが多い職場ですか?職場での程よい雑談は、組織の潤滑油になりますが、過度な雑談は集中力を阻害したり生産性の低下につながったりします。
職場での雑談をちょうど良いバランスにするためには、個々人の対策やチーム全体での対策が必要です。本記事では、職場のおしゃべりや雑談に効果的に向き合う方法をご紹介します。
目次
職場での雑談の頻度をチェック!
対策を学ぶ前に、次の質問にYesかNoで答え、職場での雑談が多いかどうかチェックしてみましょう。
- 職場のおしゃべりから逃れるためにヘッドフォンを使っている人が多い?
- 職場の会話ではいつも同じ人ばかりがおしゃべりしている?
- 1〜2人の声が一日中際立って聞こえている?
答えが2つ以上「Yes」なら、あなたの職場の雑談の頻度は多く、この機会に改善したほうが良いかもしれません。
以下では、チームの雑談と自分が主体となる雑談の両面から、問題を解決するためのヒントや注意点をご紹介します。
チームの雑談が多すぎて困っている場合
おしゃべりなチームメンバーに対応するのは、多くの人にとって難しい問題です。
雑談はチームの信頼関係を築くために大切にしたいところですが、時には自分の仕事を優先しなければいけないときがあります。その時は以下の2つの解決策を参考にしましょう。
■ 作業デスク以外の場所に移る
最初のステップとして、間接的な解決策を探しましょう。周囲の雑音から距離をとれる、休憩室や空いている会議室など、作業デスク以外に利用可能な場所へ移ると気分転換にもなります。
こうしたスペースが定められていない場合は、業務に集中するために少しの間使える空きスペースがないか、上司やチームメンバーに尋ねてみましょう。
ここで注意したいのは、これらは一時的な対策でしかないという事実です。
「自分が仕事に集中できないから」と個人の問題として扱ってしまい、雑談が多すぎることを職場の問題として認識しないと、長期的には問題を悪化させ、組織の生産性を低下させる恐れがあります。
■ 自分の仕事の状況を相手に伝える
間接的な解決策に頼れない場合や根本的な解決を望む場合は、問題に正面から向き合いましょう。
例えば、チームリーダーやチームメンバーのおしゃべりがあなた個人の生産性を低下させている、と感じるのであれば「この仕事をいつ(期限)までに終わらせなければならないんです」と丁寧に伝えましょう。
この時のポイントとして、
- はっきりと伝える
- 相手を思いやるような言い回し
- 丁寧に伝える
の3点を意識しましょう。丁寧な言い方ではっきりと伝えた方が、かえって相手に気持ちよく受け入れられます。
コミュニケーションが苦手な人は、相手を思いやる言い回しをあらかじめ選んでおくと良いでしょう。例えば、雑談は自分も好きで楽しんでいること、ランチタイムやもっと暇な時間のほうが好都合であること、を丁寧に伝えることで、チームメンバーに納得してもらえます。
それでもうまくいかない場合は、自分がその日にやり遂げなくてはいけない仕事の詳細を説明すると効果的です。
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自分がおしゃべりかもしれない場合
オフィスを観察しても雑談が多い原因をつきとめることができないとき、原因はあなた自身にあるのかもしれません。そんなときはどう対処すればよいでしょうか。
■ おしゃべりを自覚するための3ステップ
最初のステップとして、チームの助けを借りながら「自分がおしゃべりかもしれない」という可能性に目を向けましょう。
ステップ2では、徐々に自己認識(self-awareness)を高めていきます。
あなたがチームリーダーの立場にあるなら、これはそれほど簡単なことではありません。米国の組織心理学者ターシャ・ユーリックは「権力が自己認識を低下させる」と言います。
「人は権力があるほど自信過剰になり、自分が他者へ及ぼす影響に気づかず、自分以外の視点から見ることが難しくなります」
自己認識を改善していくには時間をかけて練習する必要があります。初心者は次の2つのアプローチから始めましょう。
- ToDoリストを作成する
自分の仕事とチームの仕事のToDoリストを作り、チーム全員がその日に何をしなければならないかを認識しましょう。雑談できる時間と仕事に専念すべき時間がそれぞれどのくらい必要なのか、自分とチームで確認しましょう。 - マインドフルネスを実践する
マインドフルネスは、今この瞬間の体験に意識を向けることです。初心者でも簡単にできる呼吸法を取り入れ自己を中心に据えなおすと、とらわれのない状態で今起こっていることに集中できます。経験を積むにつれマインドフルな瞑想によって自己認識を高め、他者に対して誠実にふるまうことに役立ちます。
以上の2点を実践することで、深い自己内省ができます。特に1のToDoリストの作成では、チームのタスク状況を認識することで、緊張感が生まれ、相手への接し方にも自然と配慮できるようになります。
さらにステップ3では、匿名アンケートなどチームメンバーからのフィードバックをもらいましょう。
ユーリック氏によると、信頼できるチームメンバーから偏見のないフィードバックを得ることで、「他者から見た自分」がわかり、外面的自己認識をアップできます。
チームからのフィードバックを生かし、内面と外面の両方からバランスよく自己認識を高めることで、コミュニケーション能力や人間関係、さらには仕事のパフォーマンスまで改善されます。
雑談の問題にすぐに対処しないと……
雑談の多さによって起きた問題に対して何も対処しないと、間接的な解決策をとる場合と同じように、事態を悪化させる恐れがあります。
あなたは普段、この問題を無視するか、忙しいからといってやり過ごしているかもしれません。しかし、会話が自分に向けられていないときでも、雑音によって気が散ってしまうのは変わりません。
「人の気持ちを傷つけたくない」
「気まずい空気は避けたい」
そう思って問題に触れない人のほうが多いのですが、多くの人が同じ考え方だからこそ“雑談が多すぎる”という傾向は変わらずに続いているのです。
何も発言しないでいることは“現状を承認している”とみなされてしまいます。
問題に対処しないでいると、1日を通して自分が望む以上の会話に参加することになります。
こうした会話につき合うことは無害に思えるかもしれませんが、あなたがそれに対してフラストレーションを感じているのなら、仕事の成果や健康にも少なからず影響しているのではないでしょうか。
人に親切な態度で接することはもちろん正しい振る舞いですが、そのために生産性が下がり、同じことが反すうされるたびにストレスを感じるのなら、改善策を考えるのが賢明です。
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終わりに
職場におしゃべりが多いチームメンバーがいて仕事の妨げとなっているとき、どう解決すべきかは難しい問題です。必ずしも深刻な問題になるとは言い難いですが、チームの仕事に大きな影響が出る前に対処したいものです。
このような人間関係にかかわる問題に対処するときは、正面から向き合うのがベストです。
おしゃべりなチームメンバーには悪気がなく、むしろ良かれと思ってしていることなのですから、相手のことをきちんと認め、そのうえであなたに静かな環境が必要なことを説明しましょう。
また「仕事がひと段落着いたときは、雑談につき合う」と言った、チームメンバーに配慮して雑談に参加する姿勢を持つことも大切です。
雑談を通してチームメンバーと強い信頼関係を築くことは素晴らしいことです。一方で、仕事に集中するときは静かな環境が必要とされるため、チームメンバーに配慮することが重要です。
思いやりの気持ちをもってお互いに小さな調整をしていくことで、チームは雑談の時間をとりながらも、質の高い仕事を生み出せるでしょう。