突然ですが、あなたのサービスにビジョンはありますか?Typetalkブロガーのmiholabです😄
コミュニケーションを楽しくするビジネスディスカッションツールのTypetalkは「雑談を成果に変える」というコンセプトでサービスを開発していましたが、よりユーザー目線でスピーディなサービスづくりを実現するために、この度ビジョン・ミッションを決定しました!🎉
本記事では「ビジョンの言語化」というテーマで、2ヶ月という構想期間をかけて、私たちTypetalkチームがどのような考えのもと、サービスのビジョン・ミッション、バリューを決めたのかをお伝えします。
目次
2ヶ月越しで決まったTypetalkのビジョン・ミッション
最初のビジョン・ミッションの話し合いは、日本各地に散らばるTypetalkチームが福岡の本社に一同に会した、2018年4月19日のヌーラボの社員総会で行われました。それから約2ヶ月、合計8回の議論を重ねて決まったTypetalkのビジョン・ミッションはこちら!(ドドンッ)
なぜ、ビジョン・ミッションを決めようと思ったのか?
最終決定に至るまでに、私たちは何度も「Typetalkというサービスが社会にどういう価値を提供できるのか?」「Typetalkを作っているひとたちが自信と誇りをもてるビジョンはなにか?」を問いかけ続けました。
そもそも、このタイミングでビジョン・ミッションを決めようと思ったきっかけは大きく3つあります。
1.ヌーラボの事業スピード
Typetalkを開発するヌーラボがグローバルへの舵取りを進めていく中で、チーム一丸となって同じ方向性を見ないと、開発的にもマーケティング的にも、Typetalkももっとスピーディに成長させることができない、と危機感を感じたのです。
2.チームの一体感を醸成する必要性
ある時、TypetalkのプロダクトマネージャーのYoshiが、新機能を考案したときに「こういう風に思っているから、こうしたい」と開発チームに伝えても「そういう風に思っているとは知らなかった」とすぐに理解してもらえていないという出来事がありました。
Typetalkを立ち上げた当初は取締役の面々にサービスのビジョンを頻繁に語っていましたが、実際にTypetalkができあがって、ヌーラボの一大プロジェクトになり、チームが大きくなっていったときに、チームメンバーの共通の物差し、共通のゴールがないことに気がついたのです。
3.社会的な意義を持つ
Typetalkの開発や運用に関与しているチームメンバーやその家族に自分たちの仕事が”ただのアプリをつくること”ではなく、社会的な意義があることを認識してもらいたかったのです。
ビジョン・ミッションをどうやって決めたのか
こうした背景のもと、Typetalkビジョン・ミッションを再考するプロジェクトが立ち上がりました。
最終的なビジョン・ミッション、バリューにたどり着くまで、合計8回のディスカッションをしました。開発チームとビジネスチームを含めた全体での議論は1回、開発チームとファシリテーターの議論は4回、プロジェクトマネージャーとライターの議論は3回行いました。
第1回目の話し合いでは、ホワイトボードと付箋を使って、Typetalkに対するイメージやアイデアを開発チームとマーケティングチーム総出でひたすらブレインストーミングしました。
進め方としては、Typetalkの生みの親のYoshiに全員が思いつくままに質問していくという、ディスカッションスタイルで考えを突き詰めていきました。機能開発の観点でサービスの意義を考えて質問をするメンバーもいれば、ビジネス的な観点からサービスの役割を提案するメンバーもいて、うまい具合にアイデアが発散されました。
「Typetalkはチャットツールなのか?」という課題提起
議論をしていて「これはおもしろい」という問題提起がありました。それは「Typetalkはただの“チャットツール”なのか?」というものです。
そもそもTypetalkは、ヌーラボが社内コミュニケーションにSkypeを使用していたときに、スレッドごとに会話や情報が閉じられてしまい、組織としての閉塞感があったことがきっかけで生まれました。
「この閉塞感をなんとかできないか」と考えていた当時開発者のひとりだったYoshiが、2010年に開催されたコラボレーションカンファレンスのワークショップのワールドカフェに参加して、Typetalkのアイデアを閃いたのです。
ワールドカフェでは、ひとつの閉じられたグループでやりとりをするより、様々なグループと交流して意見を出すほうが面白いアイデアをつくりだせるというコンセプトのもと、ワークショップを進めます。このコンセプトに感銘を受けたYoshiは「基本的にチャットが公開されていて誰もがみえる。ふらっと別チームの人がそのやりとりをみて、コメントを残し、やりとりが加速して面白いアイデアを生み出す。そんなツールをつくってみたい」という想いを抱くようになったのです。
こうした原体験から作られたTypetalkは、”業務連絡をするためのチャットツール”ではなく、「チームビルディングのためのディスカッションツール」というコンセプトの方が近いのです。
Typetalkから生まれるユーザー体験(UX)ってなんだろう?
改めて、「なぜTypetalkが生まれたのか」そのきっかけとなるYoshiの原体験をチーム内で共有できたことで、サービスのコンセプトを固めることができました。
次に議論のテーマとなったのは「では、Typetalkで提供しているユーザー体験とは何か?」という議題です。これをわかりやすく言語化するために「組織の成功循環モデル」をメンバーのひとりが挙げました。
組織の成功循環モデルは、マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱している理論で、組織が成果を上げ続け、成功に向かう過程やしくみを明らかにしたものです。①関係の質②思考の質③行動の質④結果の質の4つの構成要素で成り立っています。
このサイクルには関係の質から始まるグッドサイクルと結果の質から始まるバッドサイクルがあります。Typetalkが目指しているのは、まさに前者のグッドサイクルでした。
こうして、Typetalkの根幹にある概念を体系的に理解できたことで、チーム全体がより納得感を持ってビジョン・ミッションの叩きを決められました。
ビジョン・ミッション・バリューを決める
2回目からは、Typetalk開発チーム全体とBacklogのファシリテーターのYujieとikikkoを巻き込んでアイデア出しをしました。合計4回行われたこの議論では、発散したアイデアを以下のフレームワークに落とし込んで整理しました。
– ビジョン:サービスの社会的な意義は何か?
– ビジョン・ミッションを実現するためにサービスにどういう機能が必要なのか?
– バリュー:ミッションを達成するためにどういった価値観であるべきか?
まず最初に着手したのは、1回目で出たアイデアの精査です。一見するとまったく関わりの無いアイデアでもプロダクトーナーのYoshiに質問をしていくことで、サービスに込めた思いや動機などに関連性を持たせることができました。また、似たような付箋は1枚に統合して、ダブらないようにしました。
Typetalkを語る上で重要なキーワードの抽出が完了したら、今後はそれをビジョンとして明文化しました。同じく、ミッション、バリューもキーワードから文章に落とし込んでいきました。決まった案はわかりやすいように、赤色がつけられました。
ビジョン・ミッションを決める
第6回目からは、Yoshiとライターの私miholabが協力して、ミッション・ビジョン・バリューの原案をよりビジョナリーにブラッシュアップしていく作業をしました。
手元にある原案がどのような会話の流れで生まれたのか、その経緯をYoshiからmiholabに説明してもらいました。miholabはYoshiから説明してもらった内容を整理するために、エレベーターピッチのテンプレートを活用しました。
エレベーターピッチを使ったのは、Typetalkが何のために存在するのか、また届けたい顧客層、抱えている課題を発見して、情報を整理するのに最適だったからです。
10案作成したビジョン・ミッションから最終的には3案に絞りました。Yoshiへの提案はCacooで行いました。
3案から1案に絞り込む際の過程としては、Yoshiに一番良いと思ったものにリアルタイムで赤印をつけてもらいました。そこからフィードバックをもらい、リアルタイムでブラッシュアップしていく作業をしました。変更案はリアルタイムで下にボックスを付け足していき、最終的に決まった案には、黄色の塗りをしました。
そうした工程を経て最終的に完成したのがこちらです🤝
【Typetalkミッション・ビジョン】
チームではたらくすべてのひとが
組織を最高にするアイデアを生み出し続ける
革新的な組織を世界中に創出します
ミッションやビジョンは言葉だけに頼るとどうしても意図を組みきれないことがあるので、話し合いが平行線を辿ってしまったり、煮詰まってしまったりしたとき直感的に活用できる、投票制はとても便利でした。
バリューを決める
次に、バリューのビジョナリー化に取り掛かりました。ビジョン・ミッションは1回の話し合いで終わりましたが、バリューについてはTypetalkの開発にも影響する部分でもあり、一言タイトルと細かい説明を3つ考える必要があったので「コレだ!」というものがなかなか決められませんでした。
すでにあるバリューを整理するために、まずはバリューを一言で簡単にする作業をしてみました。
- 情報が誰にも開かれている = 開放感 = オープネス
- 個人個人が自発的に行動できる = 自発性 = イニシアチブ
- 上下関係なく誰もが意見を言い合える = フラット
バリューがシンプルにまとめられたところで、次は文章化する作業です。「Typetalkは」「Typetalkを使うことで」「Typetalkなら」という枕詞を使って文章に落とし込んでみました。それでいくつか案を作り、ビジョン・ミッションと同じように、付箋化してCacooでYoshiに提案しました。
フィードバックをもらって反映した結果、以下のバリューが最終的に決まりました🤝
練りに練ったバリューがお互いに通じ合った時は思わずハイタッチしたくなるくらいの嬉しさでした。
【Typetalkのバリュー】
1.(Typetalkは)誰にとってもオープンな場である
Typetalkでは組織のすべての情報が開かれています。
ITツールに慣れていないひとでもすぐに情報にアクセスできるユーザーインターフェースと機能は議論を促進し、革新的なアイデアを創出します。
2.(Typetalkを使うことで)誰もが自発的に行動できる
Typetalkは組織の自発性を促します。
個人が自発的に情報を収集したくなるユーザーインターフェースと機能は、不必要な通知を減らします。個人が積極的に議論に参加することで、意見がたくさん生まれる、共感の多いチームに育っていきます。
3.(Typetalkなら)誰もが意見を言い合える
Typetalkは組織に属する一人ひとりの意見を尊重します。
意見を伝えやすいユーザーインターフェースと機能は、部門や役職を超えたフラットでより良い仕事を生み出すための議論を活発にします。
サービスのビジョンを言語化することの大切さと大きな気づき
ビジョンやミッションは個人の頭の中には鮮明にあるものですが、それを言語化するのはなかなか難しいと思います。しかし、ビジョンを言語化するというプロセスは、周囲にどういう目的のもとサービスを作ったのか、世界観を伝えられるだけでなく、メンバーの認識合わせや一体感を醸成することもできます。
TypetalkプロダクトマネージャーのYoshiは「ビジョンを言語化していく過程で、ユーザー課題とTypetalk課題についてメンバーと対話を繰り返すうちに、今のTypetalkに足りていないものに気づけた」と話していました。また「『今はできていないけれど』と一言添えて今後のビジョンをメンバーに伝えることは悔しさを感じた一方で、逆にチームをどういう方向性に引っ張っていくべきか明確にできた」とも話していました。
冒頭の「なぜビジョン・ミッションを決めようと思ったのか」に書きましたが、個人的には、ビジョンやミッションを決めたことは、開発とビジネスチームが合意して共通のゴールに向かい自律的にアクションできる手助けになる、と感じています。もちろん、それだけでなく、プロジェクトマネージャーがTypetalkの方向性をより鮮明に描けるようになった、ということも嬉しいリターンだと思っています。
もちろん反省点も多いですが、ヌーラボがさらに成長をしていくこのタイミングでゼロからTypetalkのビジョン・ミッションを作り上げられたことの意義は大きいです。実際に今後の新機能の方向性にも、ビジョンとミッションがカタチとして現れてくると思います。
ビジョン・ミッション・バリューの言語化は、チームのコラボレーションを促進します。もし自分のサービスのビジョン・ミッションをまだ言語化できていない!という方にTypetalkのビジョン・ミッションブログが役立ったら幸いです🤝