「あの人はなぜあんなにコミュニケーション上手なのだろう」職場の上司や同僚をみていてこう思ったことはありませんか?仕事に必要なスキルはたくさんありますが、キャリアの成功や社内での出世に欠かせないコミュニケーションスキルに「アクティブリスニング(積極的傾聴)」があります。
仕事で人の意見に耳を傾けるとき、以下のような3つの理由があります。
- 情報を得るため
- 理解するため
- 学ぶため
正確な情報を得られない、フィードバックを理解できない、新しいコンセプトを学べないなど、相手の意見を聞けないと、優秀なチームプレイヤーとは決して言えません。
つまり、人の話を聞くスキルがないとキャリアで苦労する可能性が高くなるのは明らかなのです。
自身のキャリアを考える上でアクティブリスニングが重要だと思えてきましたか?本記事では、アクティブリスニングの基本とやり方を解説してご紹介します。
目次
アクティブリスニング(積極的傾聴)とは?
アクティブリスニングは、カウンセリングや研修、問題解決でよく利用されるコミュニケーションスキルです。
相手の話に完全に集中し、十分に理解し、応答し、さらに話の内容を記憶することが要求されます。
また、アクティブリスニングでは、相手が発した言葉のみならず、言葉の裏にある意味まで理解しようと、意識的に努力することが大切です。
3つの”非”アクティブリスニング(積極的傾聴)
あなたは無意識のうちに以下のような非アクティブリスニングをしていませんか?ついやってしまいがちな3つの非アクティブリスニングを確認しましょう。
1. 話の最中に、頭の中で反論している
話の途中で口をはさみ、訂正や反論をしたいという衝動にかられることがあるかもしれません。しかし、頭の中で反論を考えはじめたとたん、目の前のことから注意がそれてしまいます。注意力の半分は自分自身に向けられ、次に何と言おうか頭の中で考えながら聞いている状態になります。
2. 他のことに気を散らしている
話を聞いているときに気が散ってしまう原因はさまざまです。
- 携帯電話やパソコンの通知
- 第三者が会話に入ってくる
- 話に無関係の後でやらなくてはいけないタスクについて考える
これらのことに共通している点は何でしょうか?それは、完全に”今”に集中することができなくなることです。
あなたの意識が目の前の人が話していること以外に向けられているなら、アクティブリスニングはできていません。
3. 最後まで話を聞く前に感想を決めている
急いで結論に飛びついてしまうことはよくあります。問題は話を聞き終える前に自分の考えを固めてしまうと、話の続きはもう耳に入ってこない、ということです。話が終わるのをただ待っているだけとなります。
アクティブリスニングは、これら3つの問題に対峙します。
正しいアクティブリスニング(積極的傾聴)のやり方
以上で紹介した非アクティブリスニングを回避するために、以下で紹介するアクティブリスニングを促す考えや行動を実践してみましょう。
1. 集中できる環境をつくる
次のヒントを参考に、仕事の会話をいつもより有意義なものにしましょう。
- 携帯電話をマナーモードにして目に入らない場所におく
- パソコンを閉じる
- 会議室を予約するか、邪魔が入らない静かな場所を見つける
話し手に注意を集中するのに役立つスペースを作りましょう。
2. 聞くことは、参加すること
「アクティブリスニング」が「アクティブ」と呼ばれるのには理由があります。話を聞くことは受け身のプロセスではない、ということです。
- アイコンタクトだけでは不十分
「ふーむ」「え?」「そうですね」「それでどうなるのですか」など、短い受け答えによって話し手に先を続けるように促しましょう。表情はあたたかく、話にあわせて適度に頷きましょう。 - 「オープンボディランゲージ」を示す
オープンではないボディランゲージに、腕を組む、背もたれに寄りかかる、話し手から身をひく、などがあります。 - 意味を明瞭にするために質問する
それ以外の意見や反論は、話が終わるまで待ちましょう。 - 判断をくだすのを後回しにする
話し手が最後まで話し終えるまでは、聞いたことに対して反論を考えるのをひかえましょう。 - ボディランゲージに注意する
人は誰もが言語以外の合図を送っています。話し手は緊張しているようですか?不満がありそうですか?落ち着きを失っていますか?
3. 聞きながら要約する
人から聞いたことを自分では理解したと思っていても「実は完全に勘違いしていた」ということはよくあります。誤解の芽を刈りとるための最善策は、単純ですが、理解したことを要約して話し手に確認することです。
「つまり~ということですよね」
「たぶん~という感じではないでしょうか」
などと、自分の言葉を使って相手の考えを言い換えましょう。
誰もが自分のフィルターや、想定、判断、偏見を持ち、相手の言葉をゆがめて受け取っています。
そのこと自体が悪いというわけではありません。ただ、これらのフィルターを無意識に投影している可能性があるので、思わぬ勘違いをしていないか注意する必要があるのです。
4. レスポンスは慎重かつ丁寧に
注意深く話に耳を傾け、情報を要約して話し手に返し、自分の理解が正確であることを確認できたら、そこで初めてどのようなレスポンスをするか考えます。
アクティブリスニングで大切なことは、話し手に敬意を表すことです。それには感情的成熟が求められます。
個人攻撃、誹謗、嘲笑などは、話し手の意見に同意するかどうかにかかわらず、自分の考えを共有している相手へのレスポンスとして適切ではありません。
話し手とは異なる考えを共有したいときは、意見をよく整理した上で、礼儀をまもって穏やかな態度でのべましょう。
丁寧なレスポンスのヒント:
- 話し手の考えや感覚をつかみ、良いアイデアやポイントは復唱して共感を示す。
- 「あなたは~すべき」という言い方ではなく、あくまで「私」の意見を返す。
例:「この問題についての私の見方は…」「私が想定する解決策は…」 - 率直に話し、無駄のないフィードバックを提供する。
- 話し手が明示したキーポイントに対して反応するのを怠らない。
- 反論する際は、人の間違いを証明するのではなく、その反論によってプロジェクトにどのような価値が生まれるのか実証する。
- 皮肉や上から目線のコメントをひかえる。
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アクティブリスニング(積極的傾聴)のまとめ
「黄金律」と呼ばれる古い格言があります。
「自分がしてもらいたいことを人にしてあげなさい」というものですが、思いやりと敬意をさらに正確にあらわせば「人がしてもらいたいことを人にしてあげなさい」となります。
相手が、人に圧倒されやすい、感情的になりやすい、不安を感じやすい、などの傾向をもっていると気づいたら、レスポンスを考える際にその感情の動きに心を配りましょう。
ビジネスの場での関係は一つひとつ異なります。アクティブリスニングを実践すればするほど、チームや企業全体におけるコミュニケーションスキルを向上させ、あなたのキャリア形成の強い味方となるでしょう。